2台のスピーカを用いたステレオ再生において、左右のスピーカに振幅差をつけて再生することで両耳間位相差と両耳間強度差を実音源に近づくようにする手法を振幅パンニングといいます。
この振幅パンニングの代表的な手法としてサイン則とタンジェント則が知られています。
サイン則は頭を正面位置に固定した場合のパンニング則,タンジェント則は頭を仮想音像の方向に向けた場合のパンニン グ則と言われています*1。
本記事では、それぞれの分配係数(左右のゲイン)のプロットを紹介したいと思います。
プロットの条件
サイン則,タンジェント則では θ, φ に基づいて左右のゲインを決定します。
ここで、左右のゲインを求めるために分配係数に制約を入れます。
上の式の場合は左右の振幅の和が一定となります。
一方、下の式では左右のパワー(振幅の二乗)の和が一定となります。
上記の式によって計算された分配係数をプロットします*2。
サイン則
振幅和を一定として分配
全てのプロットについて、以下のような条件となっています。
- 中央に対するスピーカの配置角度 φ=60度
- 横軸:仮想音源方向 θ(0度が中央になります)
- 青線:左スピーカへの分配係数 W_L
- 赤線:右スピーカへの分配係数 W_R
- 緑線:2つの分配係数の和